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< 第九回 >
嚥下障害の検査法 機器を必要としない検査法(その2)

4. 氷砕片飲み込み検査(ice chip swallow test)
氷砕片飲み込み検査は誤嚥する可能性が高い患者様にも比較的安全に行うことができます。本法では氷砕片(図2)を患者様に嚥下してもらい、嚥下反射の誘発、むせ、貯留の有無を評価します。この際、コラム6、7で紹介した頸部聴診法を併用すると貯留の有無についての診断精度は高まります。
氷砕片は冷刺激によって嚥下反射が誘発されることを期待でき、また患者様は食塊の位置を自覚することができるため、直接的嚥下訓練の導入食としても適します。

図2 氷砕片(ice chips)


5.水飲み検査(timed water swallow test)

本検査では30mlの水を嚥下させ、嚥下に要する時間・回数を測定し、併せてむせなどの嚥下時のエピソードを記録します。嚥下に要する時間は健常者では5秒以内で、時間が長い場合や嚥下回数が多い場合には口腔期や咽頭期の障害が疑われます。本法は嚥下所要時間を計測することにより極めて簡便に嚥下機能を定量評価することができます。また本法による検査時に頸部聴診法を併用すると嚥下時のエピソードをより詳細に判定することができます。なお、本検査法は水の量が多く、嚥下障害が重度の患者様では誤嚥の危険性が高く、適しません。


6.改訂水飲みテスト(modified water swallow test: MWST)

本検査は重度の嚥下障害患者様にも適用することができます。3mlの冷水を口腔内に入れて嚥下を行わせ、嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価します(表4)。頸部聴診法を併用すると本検査の判定をより正確に行うことができます。

表4 改訂水飲みテストの判定

評点 症状
1点 嚥下なし、むせるまたは呼吸切迫を伴う
2点
嚥下あり、呼吸切迫を伴う(Silent Aspirationの疑い)
3点 嚥下あり、呼吸良好、むせまたは湿性嗄声を伴う
4点 嚥下あり、呼吸良好、むせない
5点 4点の症状に加え、追加嚥下運動(空嚥下)が30秒以内に2回可能


7.フードテスト(food test: FT)

本検査はプリンあるいは粥4gを口腔内に入れ、改訂水飲みテストと同様に嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価します(表5)。本検査も頸部聴診法との併用で判定をより正確に行うことができます。

表5 フードテストの判定

評点 症状
1点 嚥下なし、むせるまたは呼吸切迫を伴う
2点
嚥下あり、呼吸切迫を伴う(Silent Aspirationの疑い)
3点 嚥下あり、呼吸良好、むせるまたは湿性嗄声や中等度の口腔内残留を伴う。
4点 嚥下あり、呼吸良好、むせない。口腔内残留ほぼなし。
5点 4点の症状に加え、追加嚥下運動(空嚥下)が30秒以内に2回可能。


8.色素液嚥下検査

色素液(食用色素などを使用)を患者様に嚥下してもらい、口腔内や咽頭内における残留の程度を判定する方法です。気管切開術を施行した患者様に本法を適用し、誤嚥の有無を気管孔から直接観察することもあります。


9.反復唾液嚥下テスト(repetitive saliva swallowing test: RSST)
本検査は患者様に空嚥下(唾液嚥下)を反復してもらい、嚥下反射の随意的な惹起能力を評価するスクリーニング法です。口腔乾燥のある場合は人工唾液などで口腔を湿潤させてから空嚥下を行ってもらいます。高齢者では30秒間に3回以上、空嚥下の反復ができることが正常の目安となり、2回以下だと誤嚥をしている者が多いことがわかっています。空嚥下の評価は嚥下とともに喉頭がしっかり挙上運動することで判断します。
高齢の患者様では嚥下が完全に惹起されず、不完全な喉頭挙上運動が連続して起こる場合がありますが、その場合は空嚥下としてのカウントはしません。

次回からは特殊な機器を必要とする検査をご紹介します。

高橋 浩二
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